維持輸液について

GIM

末梢ルートから維持輸液をすることはあるでしょうか
病棟でなんとなくずっと維持液が続いている患者さんを時折見かけます、点滴をしているという安心感はありますが本当に必要かを常に考えないといけません

維持輸液/末梢静脈栄養製剤の役割
それぞれを比較すると以下のようになります
ソルデム3A(500ml):浸透圧比1、86kcal、155円
ソルデム3AG(500ml):浸透圧比2、150kcal、160円
ビーフリード(500ml):浸透圧比3、210kcal、490円

最初に断っておくと私は基本的末梢静脈栄養製剤(ビーフリードなど)を使用しません。
理由としては
①カロリーが多そうな感じがするがあんまり変わらない
②浸透圧比が高く静脈炎リスクが高い
③値段が高い

などが挙げられます。
ビーフリードを選択する医者の多くは①のカロリーが多そう、アミノ酸が入っているから良さそうという理由から選択している印象がありますが、そんなに変わらないですしただ高く静脈炎リスクが高いだけであるためです。

また私は維持液もほとんど使用しません。
①食事量が少ないからなんとなく維持液を投与する
入院患者で少し食事量が少ないという理由で維持液が続けられている例を散見しますが、飲水ができている人であれば補液は基本的に不要です。維持液には水分以外もいくつかの電解質が含まれていますが、それも食事や内服薬から補充することができますので維持液は不要です。

②脱水気味だから維持液を繋いでおく
また血管内volumeの補充のためなら維持液ではなく外液を用いる方が良いと思いますので、維持液の出番はこの場合もありません。

③長期間の経口摂取困難が予想される
この場合は全体方針を早期に決める必要があります。持続的に点滴をしないと経口摂取の水分では生命を維持できないという場合、胃管、中心静脈栄養、緩和ケアなどの方針を決定しないといけません。
前者2つなら維持液は不要であり経腸栄養、中心静脈栄養の方が効率が良いです。嚥下機能などの回復が難しい終末期の場合は緩和ケアを希望されることがあり、その場合は維持液投与は患者の苦痛緩和に役立つことはあり得ないので不要です。そのためこの場合でも維持液は不要です。

④とりあえず絶食にしているから維持液をつないでいる
本当にその絶食が必要なのかを考えましょう。”誤嚥性肺炎で嚥下機能が心配だから絶食補液とする”というプラクティスは患者にとってデメリットが多く注意する必要があります。嚥下機能を簡便に評価できる指標としては「飲水できれば全粥、とろみ水いけるならペースト食いける」というものがあります。また内服薬を飲むという行為も嚥下機能から見るとかなりハードです。内服はしているけど嚥下機能が心配で絶食ということは矛盾しており、最低でもゼリーは出してあげてください。

上記の通り維持液は中途半端であり維持液にしかできない役割はないです。次に維持液を使用するデメリットを考えます。
●維持液/末梢静脈栄養のデメリット
①長時間点滴がつながった状態でADL低下やせん妄リスクが高い
②ルート自己抜去リスクがある(身体抑制になってしまうことがある)
③静脈炎リスク

高齢者で点滴をしておく方が優しいと勘違いしてしまいますが、これは間違いです。高齢者の入院管理ではADLを落とさず早期に退院させることが何より重要です。末梢ルートがずっとつながっていると離床が遅れ、せん妄リスクが上がりいいことはありません。点滴時間やルートなどのデバイスもなるべく早く除去して離床した方がいいです。その上で経口摂取が安定しない場合は上述の通りケアのゴール設定をしてあげましょう(胃瘻などの人工栄養をしてまで生きながらえたいか、そういうつらい治療や人工栄養で生きながらえることは希望せず口から取れなくなったら寿命と考えるかなど)

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