Streptococcus species.は、カタラーゼ陰性で、楕円形や球形のグラム陽性双球菌もしくは連鎖球菌です。
初期段階のStreptococcus species.の分類は、血液寒天培地でのaction(溶血反応)と細胞壁に含まれる抗原(Lancefield antigen)を用いて行われていました。
この特徴は必ずしも遺伝学的関連性を反映したものではないということがわかっていますが、依然としてStreptococciの推定同定に有用です。表に記載したポイントを参考に推定同定を行います。これは血液培養の陽性報告から菌種同定までのタイムラグを埋めてくれる重要な情報となります。
①溶血反応 hemolytic reaction
β溶血:血液寒天培地を完全にクリアにする溶血反応
α溶血:ヘモグロビンを減少させ寒天培地を緑色に変化させる
γ溶血:変化させない
一般論としてβ溶血をきたすものは病原性が強く、Lancefield抗原により分類されます。α溶血は緑色に見えるので緑色連鎖球菌と表現されます。
②Lancefield抗原
β溶血をきたすStreptococcciを細胞壁によって細分化した
●β溶血Streptococcusの鑑別
β溶血をきたす代表的なものは、
S.pyogenes、S.agalactiae、S.dysgalactiae、S.anginosusなどです。Lancefield分類を確認すると、S.pyogenesはA(GAS)、S.agalactiaeはB(GBS)、S.dysgalactiaeはC/Gになります。 S.anginosusはA/C/G/Fに分類されうるため、これらとの鑑別が重要になります。S.anginosusはS.pyogenesやS.dysgalactiaeよりもコロニーが小さく大まかに判断ができます。また溶血の程度はS.pyogenesで強いです。
●α溶血Streptococcusの鑑別
いわゆる緑色連鎖球菌とS.pneumoniaeが含まれています。S.pneumoniaeはそれ以外のものと異なり莢膜を有する双球菌という特徴があります。S.anginosusは膿瘍形成、S.mitisやS.gallolyticusはIEの起因菌として重要です。
血液培養からα溶連菌が検出されればIEを疑うことが必要です。
viridanse group streptococcus(VGS):
VGSはその特徴によりさらにanginosus、mitis、mutans、salivariusなどのグループに分けられる。
・S.anginosus→膿瘍形成
・S.mitis、S.mutans、S.bovis、S.salivarius→非anginosus
IEの起因菌として重要である。mitisは抜歯などの歯科処置、mutansは齲歯の発生と関与している。bovisは腸管内常在菌である。
●感染性心内膜炎とStreptococcus
IEの起因菌として多いものとその割合を調べた研究で
S.aureus 31%、viridans group streptococcus(VGS) 17%、Enterococcus 11%、CNS 11%、Streptococcus bovis 7%
と報告されています。StreptococcusはStaphylococcusと並んで重要な起因菌です。viridans group streptococcusとS.bovisはDuke’s criteriaの大規準にも含まれています。
しかしそれ以外の StreptococcusならIEを来さないのかということはなく、総合的な判断となります。一般的にVGSは病原性が強くないため亜急性経過となります。
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