narrow QRS regular tachycardiaへの対応

GIM

頻脈で病棟Callとなることは多いです。narrow QRSの頻脈に対しての対応をまとめます。

●narrow QRS tachycardiaの鑑別
narrow QRS tachycardiaは上室性頻拍であり下記のような種類があります。
心房細動はQRS波がバラバラなタイミングで生じる絶対的不整 irregularly irregularであることが特徴です。心房細動はまた別でまとめます。
narrow QRS regular tachycardiaは鑑別が重要であり順を追って評価していきましょう。

●narrow QRS regular tachycardiaへの対応
①洞性頻脈かどうか

洞性頻脈か不整脈なのかで対応が大きく変わるので、まずは洞性頻脈かどうかをチェックします。

洞性頻脈かどうかを見分けるポイントは
①P波がありⅠ,Ⅱ誘導で陽性,aVRで陰性
②モニター上で突然発症ではなく徐々にHRが上昇している

逆に不整脈を疑う所見としては
①モニター上で突然出現する
②HRの変動が少ない(リエントリー回路など体動などの影響は受けにくい)
③HRが高すぎる(洞性頻脈はせいぜいHR130)
④P波が見えない

などがあります。これらを確認し洞性頻脈かどうかを判断します。
洞性頻脈である場合はそちらの原因検索を行いますが,肺塞栓や出血など致死的な疾患を見逃さないようにしましょう。

②不整脈だと判断した場合
ショックバイタルなら細胞外液をボーラスしながらDCの準備をしましょう
バイタルサインが安定しているようならルートを確保しATP急速静注の準備をします

・ATP急速静注
ATPは一時的に房室ブロックを起こすことで房室結節を含むリエントリー回路を切断し洞調律へ復帰させることができます。またそれ以外の不整脈に対しても基線を見ることでAFLなのかATなのかを判断することができます。つまりATPは鑑別/治療ともに必須の薬剤となります。
投与前の注意としては喘息患者には禁忌となっています。喘息発作を繰り返しているような場合以外は基本的には問題とならないですが、投与前には確認しましょう。また投与すると房室ブロックをきたしますが、そのまま徐脈になってしまうこともあるようです。安全のために経皮ペーシングの準備をしておくことも重要と言われています。

投与方法はアデノシン(アデホス)10mg/2mlを静注してすぐに生食20mlで後押しすることが重要です。アデノシンは投与されるとすぐに消費され心臓に届くまでに消えてしまいますので、生食での後押しをします。
投与すると数秒で房室ブロックが起きて徐脈になるので、患者さんには一時的に気持ち悪くなりますと説明します。投与後の波形が鑑別に非常に重要なので12誘導で記録しながらモニタリングをすることが重要です。

③診断後にそれぞれの対応
PSVTは発作が頓挫していれば経過観察で良いです
AFLやATはATP急速静注では頓挫しないのですぐに頻脈状態に戻ります。低K/Mg血症などの誘因を解除しても続くようなら、とりあえずレートコントロール(ジルチアゼム、ランジオロールなど)を行います。アミオダロン静注は副作用も少なく非常に有用です(私自身も頻回に使用しますが問題が起きたことはありません)が、本邦では慣習的に投与ハードルが高い薬剤となっています。使用が許容される環境であれば積極的な投与をおすすめします。この場合はリズムコントロールによる血栓塞栓症に注意しましょう。
AFLはAFよりも血栓塞栓症のリスクは低いと言われていますが、出血合併症なければAFに準じて抗凝固療法の適応を検討します。

・長期管理
PSVT→循環器紹介しアブレーションを検討(良い適応)
AFL→循環器紹介してアブレーションを検討(良い適応)
AT→アブレーションは難易度が高い可能性があるがとりあえず紹介
と、ざっくり考えています。

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