大学病院に勤めているせいかもしれないが、最近非常に内科教育(特にHospitalist教育)の必要性を強く感じる。
漫然と続く輸液や抗菌薬、エビデンスの不明なローカル治療、永遠と続くモニター、丸投げ他科コンサルト、患者/家族とのコンフリクト、ACPという概念の欠落、カンファレンスで決定するまで何も進まないなどなど、言い出したらキリがない。大腸癌の手術目的に他院から転院してきて、いつもの点滴セットが展開、IN overで心不全になり、心臓が悪いので手術できませんというような症例もあった。3年しか総合内科をやっていない僕がみても気が狂いそうな状況であるが、主治医チームの彼ら彼女らは自分たちのまずい管理に気が付かないし、何か問題が起きてもカンファで決めたことだからとどこか他人事な印象である。
どうしてこんなことになっているのかと日々悩ましい限りであり、なんとかこの状況を好転させたいと感じている。
若い医師の成長に重要なことは自分で方針を決めることだと思う。本当にこれでいいのかと日々悩み、ベストを尽くすこと、それを積み重ねていくことのみが成長につながると感じている。指導医側にできることは、研修医にその姿を見せ、1人ずつマインドを変えていくということだろう。若い時に良い指導医と巡り合うことが何より重要なのかもしれない。自分がその存在となれるように、僕は努力を続けていきたい。
総合内科などのワンクッションを挟まないなら大体の医師は3年目で専門へ行くわけであり、こういう教育ができるのは初期研修が最後と考えると、初期研修時代にまともな内科管理を教えられるような体制を整える必要がある。全教育病院でそれを実現することはまだ不可能であり、そういうマインドを持った医師が1病院ずつ変えていくしかない。そこにシナジーがあるのはやはり総合診療科/総合内科だろう。昨今は救急/ファーストタッチの教育は充実してきたように思うので、次は内科だろう。僕は感染症で食べていくことに決めたが、教育への貢献という観点からは総合診療科として病棟もやりつつ、感染症コンサルトもやるという形になるが、将来自分のやりたいこととニーズのギャップが悩みである。
繰り返しになるが本当に嘆かわしい状況である。果たしてこれが大学病院だからなのか、僕の地元の市中病院でもそうなのか、それがわかるのは数年後なのだが。
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