本邦における心不全患者数は約120万人と言われており(2020年)、紛れもないCommon diseaseである。内科医として最低限の知識を身につける必要があり、まずは疾患概念を勉強する。
「心不全ってどんな疾患か知ってる?」
心不全とは「なんらかの心臓機能障害、すなわち心臓に器質的および/あるいは機能的異常が生じて心ポンプ機能の代償機転が破綻した結果、呼吸困難・倦怠感や浮腫が出現し、それに伴い運動耐用能が低下する臨床症候群」と日本循環器学会ガイドラインで定義されています。
これでは何のことかわからないですが、一般向けの定義に「心不全とは、心臓が悪いために、息切れやむくみが起こり、だんだん悪くなり、生命を縮める病気です」と書いてあります。ここでは「だんだん悪くなり」というところをもう少し掘り下げてみましょう。
「心不全はどのように進行するのか」
「心不全の病期分類にはどんなものがあるか」
心不全は「だんだん悪くなる」病気であると定義されていますが、どのような病期がありどのような経過をたどるのでしょうか。
ACCF/AHAの心不全ステージ分類が用いられます。これをよく理解することが患者の予後予測や病状説明に非常に重要です。
心不全は増悪するたびにベースの身体機能が落ちてしまうことがわかっており、増悪を予防することが非常に重要なことがわかります。患者/家族にこの図を書いて説明すると「予防することが大事なんですね」と理解していただけることが多いです。
また予後についてもこの図を用いて説明しています。「今ご自身はこの図のどのあたりにおられると思いますか」とよく聞いています。行動変容が得られていない患者では楽観視していることが多くステージDの患者では右下にきてしまっていることをよく理解してもらうことが大切です。その上でCode discussionや終末期ケアの話をすることで医療者側と患者/家族側の認識のズレを小さくすることができます。
まとめると
心不全とは、心臓が悪いために息切れやむくみが起こり、だんだん悪くなり生命を縮める病気です。AHAのステージ分類が重要であり、ポイントは増悪するたびにベースの身体機能が低下してしまうことです。そのため増悪を予防するためのマネジメントが必要です。
・参考文献
急性・慢性心不全診療ガイドライン(2017年改訂版)
Circulation 2013; 128: e240-e327.
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