【Clinical Question】
ST合剤はPCP予防の第1選択薬として重要な薬ですが、その副作用により忍容性の問題があります。腎機能障害や血球減少などの用量依存的な副作用については、減量し継続できる場合もありますが、減量した場合の有用性なども気になるところです。ST合剤の投与量に関して調べてみます。
【Answer】
・PCP予防のST合剤有用性に関する研究 (N Engl J Med. 1995 Mar 16;332(11):693-9.)
ST合剤がPCP予防の第1選択薬であり、有用性が示されている薬剤とされています。
HIV感染でCD4<200の患者を対象にST合剤、ダプソン、ペンタミジン吸入を無作為に割り付けた非盲検試験では、36ヶ月累積のPCP発症リスクはST群 18%、ダプソン群 17%、ペンタミジン吸入 21%であった。CD4≧100では薬剤選択によるリスク差はほぼなく、CD4<100ではPCPリスクはペンタミジン吸入群 33%、ST合剤 19%、ダプソン 22%であった。
→CD4<100の患者におけるPCP予防効果はST合剤、ダプソン(100mg)>ペンタミジン吸入で、治療失敗率が最も低いのはST合剤であり、今もST合剤が第1選択薬として推奨されている。
・PCP予防の忍容性に関する研究(Arch Intern Med. 1996;156:177-188.)
HIV患者のPCP予防の忍容性に関するメタアナリシスでは、下表のような結果となっています。

しっかり予防効果を出したいならST合剤 2T毎日が最も有用ですが、副作用中止率は23.2%と高く、ST合剤 2T 週3回にすると副作用中止率は14.5%と減少するが、予防失敗率も1.8%と上昇してしまうというジレンマが認められます。
→予防効果をとるか、忍容性をとるかの判断が重要
・HIV患者でのST合剤 DS錠(2T)とSS錠(1T)の比較(J Infect Dis. 1995 Jun;171(6):1632-6.)
HIV患者 CD4<200でPCP既往のない260例で、SS錠とDS錠を比較した研究では、PCP発症した患者はなく、副作用率はDS錠 31% vs SS錠 18%でした。
ただHIV患者のPCP予防に用いるST合剤の意義は、PCP予防だけではなくトキソプラズマ発症リスクにも関連している点に注意が必要です。
以上から、
トキソプラズマ予防が必要なHIV患者(CD4<100)→ST合剤 2T 毎日
トキソプラズマ予防が不要なHIV患者(CD4 100-200)→ST合剤 1T 毎日
が妥当な投与レジメンとされています。
・ST合剤 減量レジメンに関する研究
ST合剤の減量レジメンに関しては、non-HIVの様々患者背景において文献が出ています。総じて傾向として、ST合剤 減量レジメンでの忍容性の向上と予防効果の維持が示唆されています。
関節リウマチ患者でST合剤 0.5T 毎日で予防効果を保ちつつ、継続性が高いという報告が日本から出ています(Arthritis Res Ther 2017;19:7.)。減量し忍容性が向上するなら、そちらの方が全体的な予防効果として高くなるという考え方のようです。
・まとめ
PCP予防は、患者の免疫不全(PCP発症リスク)とST合剤忍容性の天秤であることを理解する。
高度免疫不全でPCP発症リスクが高いならしっかりST合剤を使用(忍容性の問題があり、その間に免疫不全を是正する)し、そこまで高くないが長期継続が望ましい患者で忍容性が厳しいならST合剤減量は選択肢になるという感じでしょうか。
【参考文献】
N Engl J Med. 1995 Mar 16;332(11):693-9.
Arch Intern Med. 1996;156:177-188.
J Infect Dis. 1995 Jun;171(6):1632-6.
Arthritis Res Ther 2017;19:7.


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