低リン血症は血清リン<2.7mg/dLと定義される。
リン酸塩(PO4)は主に骨や細胞内に存在し、エネルギー産生や酵素活性の代謝経路に必要である。低リン血症はそれに関連した臨床症状を呈することがある。
・臨床症状
血清P<2.0mg/dL→筋力低下と関連
血清P<1.0mg/dL→せん妄、痙攣、昏睡、心不全/不整脈、呼吸不全、横紋筋誘拐、溶血などと関連
・原因
①細胞内シフト
呼吸性アルカローシス、インスリン療法(DKAからの改善過程で起きることがあるので注意)、refeeding症候群(入院時にリスク評価)、hungry bone syndrome(副甲状腺摘出後や長期透析患者)
②intake不足
カルシウム製剤や制酸剤の内服(腸内でリン酸塩と結合する薬剤)、VitD不足
リンの腎排泄は非常に低いレベルまで低下させることができ、経口摂取不良で低リン血症をきたす場合は低栄養状態が必発というイメージを持つ
③排泄量の増加
腸管からの排泄(下痢)、近位尿細管障害(Fanconi症候群(化学療法の副作用で注意))、フェインジェクトの頻回静注、副甲状腺機能亢進症、VitD不足、FGF23産生腫瘍
腎排泄亢進による低リン血症ではFEPO4>5%を認める
・マネジメント
軽度の低下では内服治療で十分
有症状 or 1.0mg/dL未満では静注補正を行う
腸管からの吸収を増加させるために活性化VitD製剤の内服を考慮する
参考:
MKSAP19、UpToDate
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