【Clinical Question】
椎体炎の治療には起因微生物の同定が重要であり、起因菌が分かってないのに抗菌薬が投与されてしまった症例では治療に難渋することがあります。その場合臨床状態が落ち着いていれば、抗菌薬を中止しCTガイド下生検を行うという作戦をとることが多いです。
抗菌薬をやめるというと主治医に反感を買うこともありますが、抗菌薬を中止する意義はどれくらいあるのか、どれくらい中止すればいいのかというところについて理解を深めることで、より良いディスカッションができると思います。
【Answer】
このClinical Questionに関しては、非常に頼りになる論文があります。
“Factors Impacting the Yield of Image-Guided Biopsy in Native Vertebral Osteomyelitis : A 10-Year Retrospective Study”
2022年のIDSAの論文で、Mayo Clinicから出ているようです。
単施設の後方視研究で2011年から2021年のNVO疑いで画像ガイド下生検を行った209例を解析したものです。結果として、初回生検の陽性率は52.9%でした。再生検は35.9%で陽性となり、再生検を含めると57.9%が微生物学的な診断に至っていました。
この研究では、抗菌薬先行投与による陽性率低下が示唆されており、多変量解析でのオッズ比は0.32で、約1/3に低下することが示唆されています。また抗菌薬休薬期間に関しても、下図のように休薬4日以降で検出率が向上するということが示唆されており、抗菌薬中止して最低4日は待つということが診断に重要な可能性があります。

【Take Home Message】
・起因菌不明な椎体炎で抗菌薬が投与されている場合、状態安定している場合、抗菌薬中止しCTガイド下生検を行うことが検討される
・CTガイド下生検は先行抗菌薬投与により陽性率が低下するが、休薬4日以降で検出率向上の可能性が示唆されており、最低4日は待ちたいところである
【参考文献】
Open Forum Infect Dis. 2022 Nov 16;9(12):ofac616.
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