カンジダ感染症の基礎

GIM

●臨床的に問題になる真菌感染症にはどんなものがあるか
臨床で問題になる真菌感染症にはCandida species、 Aspergillus species、Cryptococcus species、mucormycetes(Rhizopus、Mucor species)があり、まずはこれらを学ぶことが重要です。
カンジダ感染症について簡単にまとめます。

●全身性カンジダ感染症
Candida speciesは血流感染の原因として4番目に多い微生物であり、その死亡率は30-40%であると知られています。髄膜炎、化膿性関節炎、感染性心内膜炎、深存性感染症などをきたしますが、呼吸器や尿路に存在する場合は多くは定着(コロニー形成)を意味します。

・侵襲性カンジダ症(invasive candidiasis)はどのような患者に生じるか
侵襲性カンジダ症は血液培養を含めた無菌検体から培養でカンジダが検出されることで診断されます。しかし血液培養が陽性になるのは40-60%であり陽性となるまで2-3日を要するとされており、診断に難渋する病態といえます。そのためカンジダ感染症のリスクを認識し対応することが重要です。

・β-Dグルカンは診断に役立つか
β-Dグルカンは血液培養が陰性である患者において、侵襲性真菌症の診断を補助するために用いられることがあります。注意点としては偽陽性が多いという点です。上記のリスクが高い患者(事前確率が高い患者)で、β-Dグルカンが陽性という場合に侵襲性カンジダ血症を疑い状態をみて治療開始を検討する、という使い方になると思います。
そのためリスクが高くない一般内科の患者では測定する意義は乏しいです(偽陽性の場合に不要な抗真菌薬を投与してしまうことになるためです)。

そんななかT2 Candidaパネルは早期診断/除外に有用な可能性がありますが、使用できる施設が限られています。
T2 Candidaパネル:血液検査でカンジダを3-5時間で検出できる検査、感度が非常に高く陰性的中率が高い。

・Candida speciesにはどんな種類がいるか
たくさんの種類がいますが、臨床的に問題になるのはC.albicans(5割くらい)、C.glabrata(2割くらい)、C.tropicalis(1割くらい)、C.parapsilosis、C.krusei、C.aurisなどです。
C.albicansが最も一般的でフルコナゾール感受性です。C.glabrata、C.krusei、C.aurisは抗真菌薬への感受性が悪いことがあるため注意が必要です(特にアゾール系)。その中でもC.aurisは幅広く耐性を持ち、多くの医療機関でアウトブレイクが発生しており脅威となっています。

・血液培養からCandidaが検出されたらどうするか
上述の通り侵襲性カンジダ症は致死率の高い病態であり、血液培養の陽性率も低いため、Candidaは血液培養1本の陽性であってもコンタミとしてはいけない微生物です。
初期対応でエキノキャンディン系の抗真菌薬(ミカファンギン)の投与と血管内デバイスの抜去を行います。感受性のある抗真菌薬を早期に投与することが死亡率を大きく低減させることが報告されています。
また高率に眼内炎をきたすことが知られており眼科に眼底検査してもらう必要があります。エキノキャンディン系は中枢神経系への移行性が悪いことが知られています。中枢神経感染症や眼内炎がある場合はアムホテリシンBを用いることが一般的です。
これらを行ったのちに血液培養をフォローし陰性化を確認します。フォローは連日 or 1日おきに採取して陰性化を確認することが推奨されています。
治療期間は合併症のない非複雑性であれば血液培養陰性化から14日間、そうでなければ14-42日間とされています。

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