亜鉛はいつ測定するか

GIM

貧血の精査で亜鉛を測定することがあるかと思いますが、亜鉛を測定すべき状況はどんな時でしょうか

●亜鉛の一般論
亜鉛は成人で1.5-2.5g体内に存在している。基本的には十二指腸-空腸で吸収され、吸収率は20-40%程度である。
亜鉛欠乏では成長障害、性腺発達障害/機能低下、脱毛症、皮膚障害が生じる。特に皮膚障害は四肢や口周囲に生じる(肢端性皮膚炎)。

栄養不良、吸収不良症候群(慢性炎症性腸疾患)、アルコール多飲者などで欠乏症をきたしうる。また亜鉛を含まないTPNを投与されている患者でも欠乏しうるが、昨今は補充されていることが多い。発展途上国の小児で欠乏していることが多く補充により成長の補助になる可能性が示唆されている。

亜鉛欠乏による皮膚炎

亜鉛の検査特性
血中亜鉛濃度測定は臨床的な亜鉛欠乏に対する感度/特異度は限界がある。そのため亜鉛欠乏を疑う病歴(低栄養、炎症性腸疾患など)がない場合の測定は推奨されないと考えられる。
低亜鉛血症は<60μg/dLと定義されているが炎症反応や低アルブミン血症の存在下では低下しうることが知られている。軽度の亜鉛低値は臨床的に無意味な可能性がある。

●亜鉛はいつ測るのか、低値であったらどうするか
いつ測るのか→亜鉛欠乏症を疑う臨床所見と病歴がある場合
貧血精査で鉄欠乏やVitB12/葉酸欠乏がなく原因がはっきりしないときは測定してみてもいいかもしれない(亜鉛欠乏単独で貧血となることは稀である)

治療はノベルジンやポラプレジンクを1ヶ月程度内服して反応を見てみる
亜鉛の過剰摂取により銅欠乏をきたすことがあるので同時に銅摂取(ココアなど)を促す必要があり、むしろ漫然と亜鉛補充をしないということが重要である(亜鉛過剰による銅欠乏でMDSに類似した貧血をきたす可能性があるので注意する)。

◉参考文献:
Up to date
J Am Acad Dermatol 2007;56:116-124.

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