CD腸炎の治療は?

感染症 CQ

【Clinical Question】
CD腸炎の治療は、IDSA/SHEAガイドライン(2021)を参考に行うことが一般的であり、初回治療ではフィダキソマイシン、再発例ではバンコマイシン漸減療法などが推奨されている。それぞれの治療で実際どれくらいの有効性が示唆されるのかを調べてみる。

【Answer】

・初回CDIにフィダキソマイシンを推奨する
フィダキソマイシンはバンコマイシンと比較して、初期治療効果は同等で、再発リスクが低いという特徴がある。ランダム化試験で、30日後の持続的臨床治癒率がバンコマイシン群では59%であったのに対して、フィダキソマイシン群は70%であったと報告されている。
ただフィダキソマイシンは薬価が高く、本邦の多くの施設では未だFirst lineとして使用されてはいない印象です。

メトロニダゾールは2007年のRCTで、軽症例ではVCMとの有意差がないとされていますが、重症例ではVCMよりも治癒率が劣ることが示唆されています。現在はフィダキソマイシンやバンコマイシンが使用できない場合の代替薬という位置付けになっています。

・再発例に対するバンコマイシンtaper/pulse療法
バンコマイシンtaper/pulse療法の研究は多くが後ろ向き研究であり、実はデータに乏しいというのが現状です。また研究によって使用レジメンが異なるという注意点もあります。
複数の研究で短期VCMよりもtaper/pulseの方が再発が少なそうという結果が出ており、ガイドラインに記載されています(エビデンスは弱い)。

・長期抗菌薬投与例のCDI治療期間は?
CDIの治療期間は通常10日で、重症例などで回復が遅い場合には14日まで延長することが検討されます。

ただ、他の感染症で長期抗菌薬投与が必要な場合には治療終了しづらく、その場合には抗菌薬投与期間は治療を継続し、終了後1週間でやめるというプラクティスを取ることも検討されます。後ろ向き研究で4週間以内の再発率が減少したという報告があります。この場合のバンコマイシン投与量は、VCM125mg*4で継続する専門家もいれば、125mg*1に減量するという専門家もいるようです。

【参考文献】
Clinical Infectious Diseases 2021;73(5):e1029–44.
Clinical Infectious Diseases 2016;63(5):651–3.

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